2022年8月9日
ポイント
●アイヌムギ(イネ科)の生育地を北海道北見管内常呂郡置戸町で発見。
●標本から、アイヌムギの国内における生育状況を初めて明らかに。
●発見した標本に基づき、日本産アイヌムギの形態・分布・分類を整理。
概要
北海道大学総合博物館ボランティアの中川博之氏(ノーザン クリフ フロラ研究所)、北海道大学総合博物館の首藤光太郎助教らの研究グループは、アイヌムギLeymus komarovii (Roshev.) J. L. Yang & C. Yen(イネ科)の生育集団を国内から初めて発見しました。また、標本調査に基づいて本種の分類や分布を整理しました。
アイヌムギはイネ科の多年草で、海外の研究者によって日本国内で採集された標本の存在が指摘されていたものの、生育や分布の実態が不明であった、まさに幻の植物です。このため環境省レッドリストでは、絶滅リスクを評価するだけの情報がない「情報不足」に指定されていました。
中川氏は、2018年にアイヌムギによく似た植物を北海道北見管内常呂郡置戸町で確認しました。その後、北海道大学、京都大学、東京大学、国立科学博物館で標本調査を行い、確認した植物がアイヌムギであったことを確認しました。標本調査の過程で、国内で採集されたアイヌムギの標本が少なくとも10点存在することが明らかになりました。参照できた標本は決して多くはありませんが、現時点ではアイヌムギの国内の分布は十勝~北見地方に限られています。
また、1960年に近縁種アズマガヤの品種として伊藤浩司元北海道大学教授によって発表されたキタミアズマガヤAsperella longearistata (Hack.) Ohwi f. glabra Ko. Itoは、アイヌムギであったことも明らかになりました。
本研究成果は、2022年7月24日(日)に日本植物分類学会が刊行する国際誌であるActa Phytotaxonomica et Geobotanica誌73巻2号に掲載されました。
論文名:Leymus komarovii (Triticeae、Poaceae) in Japan(日本のアイヌムギ)
URL:https://doi.org/10.18942/apg.202204
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